表題番号:2017K-032
日付:2018/04/04
研究課題統一的正犯概念による刑法解釈の総合的検討
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 法学学術院 法学部 | 教授 | 松澤 伸 |
- 研究成果概要
(1)統一的正犯概念は、北欧においては、ノルウェーのベルンハルト・ゲッツ、デンマークによって発展させられたこと、いずれも、いわゆる近代学派に基づく刑法理論ではあるが、そこには個人責任の発想が色濃くあらわれており、その後の両国の制度運用においても、その点が重視されていること、を明らかにした。
(2)犯罪意思の惹起を伴わない単なる意思の伝達も教唆行為と評価されるとすれば、それは、統一的正犯が採用されたのと同様の意味を持つと考察していたところ、2018年7月5日最高裁第一小法廷決定の判断は、意思の伝達を教唆行為と評価するもので、我が国の実務が統一的正犯を採用する方向に進んでいることがより一層明らかになった。