表題番号:2017K-030 日付:2018/04/07
研究課題化学物質に関する予防原則の在り方
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 法学学術院 法学部 教授 大塚 直
研究成果概要

 化学物質過敏症訴訟につき、裁判例では、①環境汚染としての、廃プラスチックリサイクル施設の操業から発生する未同定化学物質による場合には、原告の救済はなされていないが、室内汚染としての、②ホルムアルデヒドを含む建材等や、③製造物(中国製電気ストーブ)による場合には原告の救済がなされている。②、③については、予防原則的考慮が裁判例上なされていると評価することもできよう。 

 化学物質過敏症の不法行為責任の判断に関しては、因果関係の判断において、原因物質の特定は必ずしも必要でなく、また、①化学物質の濃度が行政上の指針値を超えていたか、②他に同様の状況下で化学物質過敏状態となった者が数多くいたかが重視されるべきである。