表題番号:2017B-350 日付:2018/04/05
研究課題日・韓の発酵・醸造容器に関する比較考古学的研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 本庄高等学院 教諭 佐々木 幹雄
研究成果概要

発酵・醸造容器として韓国では甕が用いられるのは、寒冷落葉樹林帯に属し、樹脂分の強い松が多く、かつ植物の育ちにくい花崗岩の多い韓国では、樽の素材である木材より、焼物の素地である花崗岩の風化粘土がいたるところにあるからである。一方、日本で樽が用いられるのは、温暖多湿な日本には杉、檜などの殺菌作用のある森林が豊富でその素材に事欠かないからである。気候風土だけでなく、製作過程、維持管理においても大きな違いがある。韓国の甕は装飾、整形を一切しないため製作過程が簡単で、甕工人は短時間で大量の甕を作ることができる。が、重く、衝撃に弱く破損しやすい。これに比し日本の樽は乾燥、パーツの成形など組立前の準備に時に年単位での期間を要し、かつ組立工程も複雑である。が、軽く、衝撃に強く破損しにくいという点がある。

素材は違っても日韓それぞれで発酵・醸造容器として使われるのはともに適度な通気性が確保されるからという。木材はその繊維質を通して通気性が確保されるが、釉薬でおおわれ、一見して通気性が無いように見える甕も粗い素地を1200℃以下で酸化㷔焼成するので、気孔が残り通気性が確保されるのである。

日韓それぞれの発酵・醸造容器の相違点、共通点が確認されたが、果たして共通点の通気性が発酵とどうかかわるかが今後の課題である。

なお、本研究は2017K-372(基礎助成)と連動して行った。