表題番号:2017B-347 日付:2018/02/17
研究課題人工宝石の教材化に関する基礎研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 高等学院 教諭 竹田 淳一郎
研究成果概要

【概要】高等学校の化学分野では結晶構造の単元でダイヤモンドなどの宝石が結晶格子の例として提示され、ここで学習した内容は物理のX線回折による結晶構造の解析につながっていく。また、地学分野の地質の単元では鉱物の中で特に美しく、価値のあるものとして宝石が取り上げられている。しかし、天然の宝石は高価なため、中学生・高校生にとって手に取ったり、課外活動で研究のテーマとして取り上げたりすることは難しい。そこで、現在開発されている人工宝石の製造法を検証・改良して中等教育に導入できれば、生徒の興味関心を引き出せると考えた。

本研究では、人工宝石の製造法の導入するための基礎研究として、結晶構造に焦点を当てて、従来の方法より安価で教育上効果のある結晶構造に関する教材開発を実施した。開発した教材を高校3年生を対象にして授業で実践した。まず、1つ目の教材開発と授業実践では、市販の卓球のピンポン玉と少し小さな発泡スチロール球を利用して、体心立方格子、面心立方格子、六方最密充填構造、塩化ナトリウム型結晶の4種類を生徒に作成させた。ピンポン玉はポリプロピレン製でできているために、通常の接着剤ではピンポン玉同士が接着できない。そこで、ポリプロピレンでも接着できるコニシボンド社製の「ウルトラ多用途SU」を使用した。2つ目の教材開発と授業実践では、市販のクリスタル岩塩結晶を用いて、これを砕いて直方体を複数個作り,密度を計算してグラフを作成させてアボガドロ数を算出させた。どちらの授業実践でも、終了後にアンケートで面白さと大変さそれぞれについて5段階で評価させた。

【結果と考察】

 生徒は一人ずつ模型を作成でき、また作った結晶模型は自宅に持ち帰ることができるので,高いモチベーションをもって取り組むことができた。アンケートでは,1回目の授業実践で面白さで5の評価が43%、4の評価が43%、3の評価が14%、12の評価は0%であり、大変さの評価では5段階(とても大変,やや大変,普通,やや簡単,とても簡単)で4(やや大変)の評価が最大値であった。また、2回目の授業実践のアンケートでは、面白さで5の評価が43%、4の評価が57%、13の評価は0%であり、大変さの評価では1回目の授業実践と同様に5段階で4(やや大変)の評価が最大値であった。

以上のように、人工宝石の製造法のための基礎研究である結晶構造の教材開発に成功した。