表題番号:2017B-345
日付:2018/04/04
研究課題初期インド仏教における無我論証に秘められた言外の意図の分析と無我論証の目的の考察
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 高等学院 | 教諭 | 飛田 康裕 |
- 研究成果概要
- 本研究は、『阿毘達磨識身足論』における「一切法無我」という命題に秘められた「話者の意図による言外の限定」とこの命題の目的を明らかにすることを目標とした。そこで、この「無我」という概念をより克明に把握するために、『般若波羅蜜多心経』の「空性」との比較を試みたが、分析の結果、『般若心経』の意図としては、空性は、世俗的には一切の事物に共通する特徴(共相)として理解されているが、真実としては固有の特徴を有する事物(自相)であり、しかも、この自相は「本来的に清らかな智」であるということが念頭に置かれていることが明らかとなり、『阿毘達磨識身足論』に見られる「無我」の概念から大きく逸脱することが判明した。