表題番号:2017B-283 日付:2018/04/09
研究課題スペインの農村-都市社会で展開されるホスピタリティに関する人類学的研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 人間科学学術院 人間科学部 准教授 竹中 宏子
研究成果概要

  本研究はサンティアゴ巡礼が通過するスペイン・ガリシアの農村-都市地域を対象に、都市/農村地域によって異なる多様なホスピタリティのあり方を整理し、当該地域に「埋め込まれた」ホスピタリティの現在を人類学的に考察することを目的としている。2017年度は、主に、この研究全体の都市部、すなわち町の中心部で展開されるホスピタリティを捉えることを目指した。また、ホスピタリティの概念に関する文献調査も行った。

 サンティアゴ巡礼路が通るパラス市の中心部におけるフィールドワークからは、次のことがわかった。1) 店舗も宿泊施設も主なターゲットを巡礼者と考えていること。2) 宿泊施設で提供されるホスピタリティは、ホテルにおける「おもてなし」に近いものであること。3)巡礼者と日常的に直接接点を持たないその他の住民は、巡礼者を他のよそ者と同じに捉えていること。ここから、報告者が既に考察したサンティアゴ巡礼特有の「巡礼ホスピタリティ」なるものとは異なる、一般的で「サービス」に近い歓待の態度が捉えられた。その理由は、ホスピタリティの提供者がかつての巡礼者ではないという点だと考えられる。