表題番号:2017B-271 日付:2018/04/05
研究課題スピリチュアルケアを導入した高齢者コミュニティの日本型モデルの構築
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 社会科学総合学術院 社会科学部 教授 久塚 純一
(連携研究者) 社会科学総合学術院 教授 早田 宰
研究成果概要

 この研究は、超高齢者コミュニティの日本型モデルの構築である。米国では、継続的なケアを提供するリタイアメントコミュニティ(CCRCContinuing Care Retirement Community)の実践があり、日本版CCRCの 条件、日本のコミュニティすなわち集団または場に求められる条件とは何かを明らかにする必要がある。現在、既存の包括ケアに加え、新たに国家戦略として認 知症カフェの全国への設置が推進されている。今後さらに超高齢者コミュニティでは、肉体的な課題もさることながら、生老病死の精神的な苦しみがより重要な 課題となる。

 そのような中で、久塚は、主に、①北九州市社会福祉協議会、②自治労福岡県本部、③グリーフサポートいわて、でヒアリングを実施した。さらに、福岡県八女市で「町屋」を賃借し、地元のNPOと共に「町屋」を基盤とした街づくりに着手し、介護保険創設後の地域づくりを実践した。

  早田は、認知症カフェへのアンケートを実施・分析し、多様なプログラムが実施されている一方で、スピリチュアルケアとしての位置づけが不十分であることを考察した。

   結果として得られたことは、スピリチュアルケアは学際的テーマであるが、従来、医療分野ではスピリチュアルペインの緩和 が実践されてきた。しかし生老病死の苦しみから自由になるためには、生命の自己存在イメージを長期的にコントロールする考え方がコミュニティや場に求めら れる。医療機関、専門職よりもむしろ、地域社会の生活圏と生活史の延長上にスピリチュアルケアを位置づける実存的なあり方について再検討をおこなう必要が あることが示唆された。