表題番号:2017B-255 日付:2018/03/10
研究課題劣化診断のための最適信号処理探索システムの研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 大学院情報生産システム研究科 教授 犬島 浩
研究成果概要

1.拝啓
 劣化設備診断では,これまで定期点検を主体に行われてきた。最近では個々の設備状態に応じて保全内容や時期を判断する状態監視保全の重要性が認識され,取り入られている。さらに,将来的には設備の劣化や異常兆候の進展を定量的に判断し,それに基づいて効果的で合理的な保全を行う予測保全へ移行していくことが予想される。設備の状態や異常兆候を的確に把握し保全する技術が重要になっている。

2.方法
 「IoT」は、私たちのまわりにある物体にセンサ一を設置して、種々の情報(電圧、電流、温度、振動、画像など)をインターネットに伝達し、ネットワークを構成することである。上記システムは一度構築すると、その後ほとんど人間を介さず、様々な情報が自動的・恒常的に、それを必要とする企業や公的機関の部暑に集約されることになる。

3.結果
 設備診断には,必然的に多数のセンサが分散配置されるようになると考えられることから,センサに以下の特性が望まれる。小型・軽量,安価,メンテナンスフリー,長寿命,低消費電力,低電圧動作,機械的剛構造,防爆構造,無害・安全な材料による構成などである。設備診断のための信号処理には,主成分分析などの多変量解析,ニューラルネットワーク,遺伝的アルゴリズム,ファジィ推論,ウェーブレット変換などを利用して分析することにより,診断精度を向上させる。

4.結論および今後の課題
 設備診断の方式が定期点検(TBM)から状態監視(CBM)に移行し,故障の前兆現象である劣化監視の要請にともない従来の手法では対応が困難な状況を呈している。無線センサにより,センサのIC化とデータ伝送が無線で実行され,センサ価格とデータ伝送設置コストの低減化がはかられる。また,クラウドコンピューティングシステムにより,診断システムの設置コストの低減化が実現される。さらに,診断アルゴリズムの高度化も推進されることが期待できる。