表題番号:2017B-157 日付:2018/03/01
研究課題都市農村計画の導入のための理論と「シティ・リージョン」広域圏計画の実証
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 創造理工学部 教授 後藤 春彦
(連携研究者) 理工 助教 山村 崇
研究成果概要

本研究では、わが国において導入が望まれる、都市と農村を明確に区別せず一体的にマネジメントするための都市・地域間連携のしくみ「日本版シティ・リージョン(CR)」に関して、CR形成の先進モデルに位置付けられる「飛鳥CR」の推進を支援しつつ、計画実施の有効性と課題を抽出した。

 

対象地域の自治体関係者などに対するヒアリング調査を実施し、都市・地域間連携のための有効な枠組みを構築した。すなわち、(1)空洞化が進展する中心市街地においては、空き家を活用した都市内居住等の促進によるコンパクトなまちなかの形成を図ること。(2)過疎化が進展する農村部においては、地域資源を活用して都市農村交流を促進することが、それぞれ有効であるとの知見を得た。そのうえで、対象地域においてこれら二つのアプローチからCR形成を試行し、フィジビリティを検証した。具体的な分析成果は以下の通り:


(1)空洞化が進展する中心市街地におけるコンパクトなまちなか形成:対象CR内の歴史的市街地で、地元の自治組織・医科大学・金融機関などと連携して空き家活用を推進した。そのなかで、活用用途と活用主体の適切な世代バランスを生み出すことの重要性などを見いだした。また、空き家の管理にとどまらない、地域マネジメント体制構築の必要性が課題として浮き彫りとなった。


(2)過疎化が進展する農村部における都市農村交流の促進:対象CR内の基礎自治体、県などと連携し、都市農村交流プログラムを推進した。そのなかで、近年の健康志向の高まりを受けて、農村が有する多面的価値(景観・歴史・文化・食など)を組み合わせ、統合的に価値付けを行うことや、地元農家・自治体・医師等専門家による連携体制の構築の有効性を明らかにした。加えて、事業の継続的な推進主体の育成など課題を抽出した。