表題番号:2017B-135 日付:2018/02/24
研究課題クラウド環境におけるスマート・ソフトウェア・エコシステム
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 基幹理工学部 教授 鷲崎 弘宜
(連携研究者) 信州大学 連携研究者 小形 真平
研究成果概要
 ソフトウェアのシステム構成や環境、機能、要求が極めて多様かつダイナミックに変化するクラウドおよび分散処理(フォグ)コンピューティングの時代では、従来型の計画的な準備されたソフトウェア再利用、品質管理ではその開発運用の効率化・高信頼化を実現できない。

 そこで本研究では、クラウド・フォグコンピューティング時代において、ソフトウェアシステムの企画から開発、運用に到るライフサイクル中のあらゆる情報・成果物を解析および必要な構成の自動推薦をえて、100%に近いレベルで再利用して新たなソフトウェアシステムを生み出し、またその結果を他のソフトウェアシステムの企画・開発・運用へと役立てる循環・進化・共存型の「スマート・ソフトウェア・エコシステム(生態系)」の技術的基盤の確立に向けた全体像の設計、ならびに、要素技術を調査研究することを目標とした。

 具体的には、実現するスマート・ソフトウェア・エコシステムの全体を、次の具体的な特定領域に焦点を当てた2つのエコシステム群、ならびに、それらの高信頼化や組織化を支援する2つの支援技術基盤より構成するように設計した: A. 価値を含むプロダクトの分解・再利用を扱うプロダクトエコシステム、B. プロセスの分解・再利用を扱うプロセスエコシステム、C. プロダクト・プロセスの種別を超えて組織化を支援するエコシステム追跡・組織化、D. 各エコシステムおよび全体の品質を評価および改善するエコシステム高信頼化。

 そのうえで、プロダクトエコシステムについて、クラウドサービスソフトウェアの要求からプログラム、テストに到るまで、ライフサイクルのあらゆる時点におけるあらゆる抽象度の成果物の循環的な分解・再利用・再構成を達成するために、共通メタモデルを実現した。同メタモデルに基づいて再利用可能なコンポーネント、典型的パターン、ソフトウェアのあちこちに散らばる事柄をモジュール化するアスペクトへと分解し、抽象化により抽象度の高い部品もあわせて用意して、再利用を意図せずに開発された多様な資産をエコシステムへ組み入れるプロセスの基本構成を合わせて実現した。