表題番号:2017B-066 日付:2018/03/28
研究課題社会的状況における多属性意思決定過程の微視的分析法の開発と実証研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 文学学術院 文学部 教授 竹村 和久
(連携研究者) 北里大学 教授 岩満優美
(連携研究者) 徳山大学 准教授 井出野尚
(連携研究者) 静岡大学 講師 玉利祐樹
(連携研究者) 慶應義塾大学 教授 坂上貴之
研究成果概要
 本研究では、社会状況における人々の意思決定過程の微視的分析をするための方法論の開発と、その方法論を用いた基礎研究ならびに実務的な応用研究を行うことを目的とした。 具体的には、1)社会的状況における人々の意思決定の微視的過程を明らかにするための方法論の開発、2)開発された方法論によって測定された微視的過程の数理的解析や、計算機シミュレーション研究などによる理論的分析を通じた、意思決定過程における極めて短時間での微視的分析を用いた意思決定モデルの開発、3)実験心理学的手法、観察法、調査法を用いた、社会的状況の意思決定の微視的過程の知見の総合、4)医療心理、リスク・コミュニケーションなど具体的な社会の実務的諸問題に対する事例研究、および5)提案方法の評価研究の、5つを目的とした。
 まず、第一の目的では、社会的状況における人々の意思決定の微視的過程を明らかにするための方法論の改良と開発を行う。そのために、公理論的数理モデル、計量的モデルの観点から整備して、つぎに実証的な方法論、すなわち眼球運動解析、情報モニタリング法、プロトコル法などの過程追跡技法の改良を行う。このとき、意思決定過程中の脳機能画像研究による知見にファジィ理論を含んだ数理心理学の知見を導入し、これらの知見を誤差項や個人差を考慮した統計的手法や計量モデリングきる分析スキーマを提示して、社会的状況における意思決定過程の微視的分析の方法論を提示することを目標とした。つぎに、第二の目的のために、社会的状況における意思決定の微視的過程の公理論的観点および数理計量的な観点からの数理的解析、解析的に導出できない場合の大規模計算機シミュレーション研究などによる理論的分析を通じて、意思決定の数理モデル、計量モデルを開発した。第三の目的のために、神経科学的手法、実験心理学的手法、観察法、調査法を用いた、社会的状況の意思決定過程の微視的過程の知見を総合した。これらの方法は従来の方法に加えて、第一の目的の実施のために開発した諸方法をもとに行う。最後に、第四の目的のために、社会問題を意思決定の微視的過程の観点からどのように取り上げて、諸問題に関する事例研究と処方の視点を提示することを検討するが、例えば、医療心理の問題では、癌患者にどのような医療の選択をするかにあたって、臨床心理学的な観点とも統合しながら、意思決定の支援を行い、サポートをどのようにしていったらよいのかということへの示唆を行うための検討を行った。