表題番号:2017B-022 日付:2018/02/20
研究課題家産国家原理の生成と変移に関する事項別考察
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 法学学術院 法学部 教授 笹倉 秀夫
(連携研究者) なし
研究成果概要
 当初の計画通り、クリスティーヌ・ド・ピーザンの軍事論・政治論を、〈マキァヴェッリを100年も先取りする政治思想家〉という観点から考察した。二人は共通して、古代人の戦い方・生き様に依拠して思考したことによって、〈軍事でもイニシアティブをとる君主〉の姿を浮き立たせ、「君主鑑」の中世的傾向を破る動きを見せた。この「君主の軍事化」は、①近世国家を担う君主像を生成させ、②軍隊の紀律化を国家・社会生活に浸透させ、③軍事論的思考を政治論に浸透させて新政治学誕生をもたらすことになった。上記の考察は、従来の近代主義的マキァヴェッリ論(かれを伝統から決別した特殊ルネッサンス的=近代的思想の人とみる見方)の克服への道を示すものでもある。