表題番号:2017A-003 日付:2018/04/07
研究課題非行・不良行為等の発見段階における立ち直り支援の現状と課題―警察を起点とした機関連携を中心に―
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 法学学術院 法学部 教授 石川 正興
研究成果概要


1.調査内容

以下の聞き取り調査ならびに研究会を実施した。

①2017年8月7日(月) 福岡県警北九州少年サポートセンター・北九州市子ども総合センター・北九州市教育委員会指導第二課少年サポートチーム聞き取り調査・意見交換

②2017年8月8日(火) 福岡県警福岡少年サポートセンター・福岡市こども総合相談センター聞き取り調査・意見交換

③2017年8月9日(水) 広島県警察本部生活安全部少年対策課聞き取り調査・意見交換

④2017年9月6日(水) 大阪府警察本部聞き取り調査・意見交換

⑤2017年9月7日(木) 大阪府警中央少年サポートセンター聞き取り調査・意見交換

⑥2017年9月8日(金) 京都府警察少年サポートセンター聞き取り調査・意見交換

⑦2017年12月15日(金) 神奈川県警察本部聞き取り調査・意見交換

⑧2018年1月27日(土) 早稲田大学社会安全政策研究所、警察政策研究センター主催による公開研究会「『少年を犯罪から守るための機関連携』のあり方」開催(於:早稲田大学早稲田キャンパス8号館B107教室)

⑨2018年2月20日(火) 新潟県警察本部聞き取り調査・意見交換

2.調査の結果得られた知見

①近年の少年非行は、SNSの普及などに伴い広域化・集団化しており、事案を把握するうえでも各機関のみの対応では限界がある。また、性加害や薬物乱用などのほか、虐待やいじめなどの被害事案も増加しており、多機関連携による早期発見・早期予防の重要性はさらに増している。

②調査を実施した各府県においては、警察を起点とした連携として、加害・被害事案への対応における学校・教育委員会との協定書の締結、法令上の協議会の活用、人事交流やスクールサポーターの活用など、それぞれの実情に合った多機関連携の実践が見られ、連携による成功事例の蓄積が進んでいた。また、今回新たに調査を行った府県警に関して、大阪府警では平成29年4月から児童虐待対策官が、新潟県警では同年4月からいじめ対策係がそれぞれ少年課内に設置され、警察を起点とした多機関連携の取り組みが進められている。また、大阪府警では少年鑑別所と連携した立ち直り支援、京都府警では少年鑑別所との連携や、薬物乱用事案における病院との連携による立ち直り支援が展開されている。さらに、広島県警は2013年9月以降、福山市教育委員会・広島市教育委員会と連携して施設同居型の少年サポートセンターを開設し、立ち直り支援を展開していた。