表題番号:2016S-047 日付:2017/02/11
研究課題従業員を動機づけるマネジメント・コントロール・システムの設計と運用
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 商学学術院 商学部 助手 町田 遼太
研究成果概要
従業員を動機づけるマネジメント・コントロール・システムの設計と運用に関連する研究はヨーロッパを中心に盛んに行われている。実証会計学が大勢を占めるアメリカにおいても、社会学などをベースとしたケース研究は数多く報告されている。報告者が参加した、2016年8月6日から11日にかけて開催されたアメリカ会計学会(American Accounting Association)においても、利用者目線の管理会計システムのケース研究や、アクター・ネットワーク理論を援用した研究報告がいくつもなされた。今後これらの理論アプローチを援用し、研究を拡張する。本課題の成果は、『早稲田商學』に「権限移譲と責任会計の変化―組織階層および相互依存性と管理可能性原則に関する考察―」と題する論文として投稿した。その概要は以下のとおりである。 本課題研究では、既存の管理会計理論において支配的な概念とされてきた「管理可能性原則」を中心とした責任会計論の拡張・再構成を試みる。「管理可能性原則」は「権限と責任の一致」という社会的通念を投影したものであるが、組織・技術・財サービスなどビジネスの前提の変化は考慮されていない。したがって、組織の相互依存性の存在を考慮し、現場に近いマネジャーおよび従業員を適切に評価するような権限と責任の関係、責任会計システムの理論が必要とされている。既存の責任会計の先行研究を再整理し、業績評価の実態を明らかにすることで、「管理可能性原則」のみによらずして組織全体の目標を達成するよう組織構成員を動機づけるためのマネジメント・コントロール・システム(以下、MCS)の設計理論の基礎を構築する。