表題番号:2016K-276 日付:2017/04/10
研究課題脳内酸化・抗酸化バランスからみた熱中症発症機転の解明
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 人間科学学術院 人間科学部 教授 永島 計
(連携研究者) 人間科学研究科 修士 小幡千紗
(連携研究者) 人間科学研究科 修士 綱川みづき
研究成果概要
平常体温のマウスの脳において、抗酸化酵素であるsuperoxide dismutase (SOD) 2のタンパク発現が脳表部で脳底部に比べて多いことを明らかにしている(p=0.001;脳表部 1.3±0.11、脳底部 0.3±0.05)。さらに、暑熱暴露後のSOD2のタンパク発現を調べたところ、脳表部では正常体温に比べて減少していたが(p=0.001;正常体温時 1.3±0.11、高体温時 0.8±0.05)、脳底部では差が見られなかった(p>0.05;正常体温時 0.3±0.05、高体温時 0.3±0.03)。この現象の生理学的意義は明らかではない。 本研究では以下の実験仮説をたて、その検証を行った。①暑熱暴露時には脳表部の温度が上がりやすく、その防御機転の一つとして抗酸化酵素が細胞中に多く含まれている、②脳底部では暑熱暴露時に脳温の上昇を防ぐなんらかのメカニズムが存在し、抗酸化酵素は少なく、暑熱暴露の影響も小さい。実験では、高体温時のラットの視床下部および海馬の温度を直接計測し、免疫組織化学的手法により抗酸化酵素およびROSの分布を調べた。 傾向としてはSOD2の発現は免疫組織科学染色では脳表に多く認められ、また暑熱暴露時のROS産生は多い傾向が見られた。また、脳内での温度の較差が認められた。