研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 社会科学総合学術院 社会科学部 | 教授 | 土方 正夫 |
- 研究成果概要
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本研究は昨年に引き続き、宮城県気仙沼市階上地区を対象に地域震災復興計画について、行政と住民のコミュニケーションプロセスのデザインをアクションリサーチの方法によりその課題を明らかにする目的で実施した。
既に階上地区全体の住民によるいわゆる「まちづくり大綱」は2014年に市役所に提出され、市役所もこれに対して公共的な立場からのフィードバックは行った。その後まちづくり大綱にも記載されている様に向洋高校が市によって震災遺構に指定され、階上地区では震災遺構を含むセントラルパーク構想の実現に向かって市とのコミュニケーションが活発に行われた。震災遺構は気仙沼市全体の遺構という位置づけをしており、階上地区の復興計画との相互調整が必要であった。市は階上地区まちづくり協議会運営委員を含む地元有識者による震災遺構委員会を設置し、階上地区のセントラルパーク構想との調整が図られた。ここで階上地区は“階上地区全体が震災遺構である”という立場から、震災の記憶を留め、全国の震災教育の拠点として位置づけるのみならず、産業までを含め復興の姿を示すという意向を打ち出し、具体的には地域活動の拠点としての位置づけも明確にし、プロムナードセンターの併設、グランドの有効利用案までが基本計画に盛り込まれた。このコミュニケーションプロセスは市の担当者が階上地区のまちづくり協議会に参加するなどを通して、実質的なコミュニケーションプラットフォームが形成されていった。一方でこれらの動向を見据えながらまちづくり大綱の見直しも進められ、コミュニケーションのチャンネルは継続的に確保され、階上地区の住民へも全戸に配布されるまちづくり新聞等を通して復興計画の進捗状況が知らされていった。これらの中でまちづくり継続的なプラットフォームの運営主体を担うべき組織は、まちづくり協議会では手に余ることも明らかになってきた。復興のプロセスで力を発揮した地元のNPO団体といった公式組織がその役割を担うことが望ましいが、財政面での問題が残されている。また、これまでの市と階上地区の復興まちづくり計画作りの文脈を蓄積し、また、内外の組織との連携も含めたシフトな資産を今後の復興計画にどの組織が主体となってこれを活かしてゆくことは重要な課題であるといえる。これらの課題も含め、今後は復興まちづくりの計画の継続性とその条件についても研究を継続してゆく予定である。