表題番号:2016K-102 日付:2017/03/16
研究課題アメリカ新教育のスクール・ソーシャルセンターにおける道徳教育に関する史的研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 教育・総合科学学術院 教育学部 教授 佐藤 隆之
研究成果概要
本研究の目的は、20世紀初頭のアメリカに出現したスクール・ソーシャルセンターに注目して、学校が社会と一体となって行う道徳教育について、その基底にある理念と、それに基づく実践について解明することにある。スクール・ソーシャルセンターは、ソーシャルセンターとしての学校(school as social center)、コミュニティ中心の学校などとも呼ばれ、社会やコミュニティと密接に結びついた教育を行う学校であった。それは、社会が人的・物的資源を提供することで学校に寄与するとともに、学校が社会の中心に位置して成人向けの公開講座を開いたり、児童生徒のボランティア活動を行ったりする社会貢献に力を入れた。それによりスクール・ソーシャルセンターにおいては、子どもの主体性や自発性を生かしながら、社会の維持発展に貢献できる市民を育てる道徳教育を行った。本研究では、スクール・ソーシャルセンターのモデルとなった、デューイのスクール・コミュニティ論について考察した。デューイは当時の市民性教育に批判的検討をくわえ、学校をコミュニティと緊密な関係におくスクール・コミュニティを代案として提起した。スクール・コミュニティにおいて学校とコミュニティは互恵的な関係におかれる。そのような関係性に基づく民主的市民性教育の理論と特徴について、19世紀末から第一次世界大戦まで、第一次世界大戦から大恐慌まで、大恐慌以降の三期に分けて解明した。