表題番号:2016K-059 日付:2017/03/31
研究課題戦国大名領国における訴訟と裁判の研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 文学学術院 文化構想学部 教授 久保 健一郎
研究成果概要
 本研究は、戦国大名領国における訴訟と裁判について、島津氏の領国等を対象として、(1)訴訟当事者の階層はいかなるものか、(2)どのような紛争が訴訟に及んでいるか、(3)訴訟手続きはどのように行われているか、(4)訴訟の論点や裁決における決め手は何かといった点に注目して検討した。その結果、(3)に関して、重臣集団である老中が談合結果を当主のもとへ持ち込んだのに対し、当主が最終決定を忌避するという事例を見出し、(4)に関して、一族の訴訟・裁判への介入から人格的関係の問題を考えた。これらの点は、戦国大名領国における訴訟・裁判の具体化、さらには裁判を通じて強化されるという従来の戦国大名像の相対化につながる大きな成果と考える。