表題番号:2016K-054 日付:2017/03/06
研究課題ドイツ神秘思想におけるテオーシスの伝統-キリスト変容図を手がかりにして
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 文学学術院 文化構想学部 教授 田島 照久
研究成果概要

本研究では、ドイツ神秘主義が説く「魂の内における神の子の誕生」の教説を、ギリシア教父以来の「テオーシス」(人間神化)思想として捉えなおし、東方正教会とは異なる独自のテオーシス理解があることを明確にしようとするものである。「テオーシス」思想とは神の本性に与り、「神の似姿」を成就し人間存在を完成することを目指すギリシア教父以来の思想伝統である。「この方が人となられたのは,われわれを神とするためである」と「テオーシス」は古来神の受肉と対応させて受け取られてきた。ローマカトリック教会の内で唯一テオーシスの伝統を受け継ぐ13世紀のエックハルトの思想を受肉の理解を中心に詳細に分析検討することができた。