表題番号:2016K-031 日付:2017/04/13
研究課題環境リスクに対する損害賠償の在り方-環境法における予防原則の具体化の一側面
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 法学学術院 法学部 教授 大塚 直
研究成果概要

 

成果としては、原発民事差止訴訟について以下の結論を得た。第1に、(行政訴訟ではなく)民事(差止)訴訟の目的は、周辺住民の人格権侵害の防止・予防であり、人格権侵害の防止・予防のために必要があれば、原発が現在の科学技術水準を満たしていても、差し止めうるというべきである。第2に、原発訴訟を行政訴訟のみに委ねようとする見解は、行政訴訟を提起した場合の訴訟要件等におけるハードルの高さを軽視した議論である。第3に、新規制基準(行政基準)に対する敬譲は必要である一方で、民事訴訟においても行政基準に全く追随するのでは意味がなく、両極端の立場をとらない判断枠組が必要である。