表題番号:2016B-295
日付:2017/04/04
研究課題東部ユーラシア世界および日本に影響を及ぼした初期仏教における無我論証の分析と考察
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 高等学院 | 教諭 | 飛田 康裕 |
- 研究成果概要
- 仏教の根本的教義の一つに「一切法無我」という命題がある。本研究は、紀元前2世紀頃におけるこの命題に秘められた「話者の意図による言外の限定」を明白にすることを目的とし、これを解明する方法として、『阿毘達磨識身足論』「補特伽羅蘊」を対象として分析するとともに、「無我」の概念をより克明に把握するために、後世に出現した『般若経』の「空性」の議論と比較検討することにした。分析の結果、有部の用いる「我」の概念は、専ら不変の個人原理を表すのに対して、『般若経』の「我」は、①妄想された個人原理と独自性と②真実の個人原理と独自性に大別され、後者(②)の我においては空性が意図される傾向のあることが明らかになった。