表題番号:2016B-257 日付:2017/04/05
研究課題関節安定化機能を持つ深部筋群の機能解析研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) スポーツ科学学術院 スポーツ科学部 教授 金岡 恒治
(連携研究者) 早稲田大学スポーツ科学学術院 助手 今井厚
研究成果概要

本研究の目的は各関節の深部筋の機能を明らかにすることであり、体幹・肩甲帯の機能が上肢障害にどのように関わっているのかをwire電極を使用した後脛骨筋や菱形筋の筋活動解析を実施した。

 肩甲骨の安定に関与する菱形筋の筋活動解析では、姿勢の変化による影響について検討し、耳孔、肩峰、大転子が一直線に保たれている良姿勢に対し、耳孔及び肩峰が前方に突出している不良姿勢の菱形筋の筋活動量が低値を有意に示した。つまり不良姿勢では深部筋が適切に活動しておらず、適切なアライメント保持ができていない可能性があるといえる。足部のアーチ保持に関与する後脛骨筋の筋活動解析では、wire電極を用いて歩行や走行時の筋活動パターンを検証した。その結果、歩行の立脚期では、立脚初期と後期に二峰性の活動波形を示すことを確認した。一方、走行では筋活動波形は一峰性となったが、立脚初期に筋活動のピークが来ることが示された。このことから、立脚初期の活動は、接地と共に足部が回内し、内側縦アーチが低下するのを制動する役割を果たしていると考えられる。足部は歩行や走行時、唯一地面と接地する部位である。そのため、足部過回内による足部安定性の欠如は、床反力からの適切な荷重伝達を妨げ、運動機能異常に繋がる可能性がある。後脛骨筋は、このような運動機能異常を防ぐ動的関節安定化機能であると考える。