表題番号:2016B-113 日付:2017/03/31
研究課題次世代EMSにおける再生可能エネルギーの急変検知と階層的最適予測制御の検討
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 基幹理工学部 教授 天野 嘉春
研究成果概要
再生可能エネルギーの急変検知:
太陽光発電システム(PV)の導入がより進むにつれて,PV 出力の急激な減少(主に雲により引き起こされる)は配電系統の電圧・周波数の安定性に悪影響を与え,電力品質や変動電源の価格にも直接的に影響を与える.この問題の解決策として,PV出力が急激に減少することをあらかじめ検知し,宅内の蓄電機能を持つ機器より電力変動幅が小さくなるよう調整し,電力需要の変動幅を一定範囲内にすることで配電系統側の負担を抑える方法などが想定されている.そのためには予め日射量が急激に落ちる時間と変動幅を予測する必要がある.
2016年度は,天空画像の歪み補正,k-means クラスタリングを用いた雲領域の抽出,太陽位置からの距離に応じた快晴領域と雲領域の割合(晴天指標)の抽出,PV発電量の高周波数成分の除去,各特徴量と太陽光発電量の間の相関調査を実施した.その結果をまとめると以下の通り.
・天空画像から RBR値・S値を元に閾値処理を施した結果得られた雲画像から,天空画像内の太陽位置からの距離に応じた晴天指標を定義し,算出したところ,太陽が雲に覆われる場合
には値が小さくあり,天空画像内に湿る雲領域の割合傾向を反映することを確かめた.
・晴天指標の時間変化によりPV 発電量の時間変動を評価できる.
・天空画像全体の彩度の平均値を用いることで,PV 発電量を推定可能である.
課題として,薄曇に覆われる場合には,PV 発電量が大きいにも関わらず晴天指標の値が小さくなり,正確にPV発電量を反映していないことも確認した.
研究成果は,2017年度 第22回 動力・エネルギー技術シンポジウムにて講演にて公表する.

階層的最適予測制御の検討:
家庭用固体高分子型燃料電池コージェネレーションシステムを対象に,翌日の電力,給湯不可を予測し,最適運用計画を導出するフレームワークを対象に,計画階層的な制御システムを提案して,この効果を評価するシステムを構築した.
まず,詳細な負荷特性実験装置によって機器特性モデルのパラメータを同定し,サンプリング間隔1 min間隔での詳細な入出力特性(95%以上の確度でエネルギー消費量を再現)を導出した.
これにより,家庭用エネルギーシステムのマネジメントシステムを構築・評価するため,高い確度でシミュレーション評価が可能な環境を構築できた.