表題番号:2016B-090 日付:2017/04/12
研究課題海外子会社の組織コントロールと組織アイデンティティの関係解明
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 商学学術院 商学部 教授 大月 博司
研究成果概要

海外子会社の形態は出資比率の観点から多様だが、親会社による組織コントロールの必要性は変わらない。本研究は、企業の海外展開で求められる子会社の有効な組織コントロール、特に、海外進出企業において不祥事といった意図せざる結果が起こらないようにする有効な組織コントロールのあり方に焦点をあて、それを実現するには組織アイデンティティがいかに影響するかを理論的かつ実証的に明らかにすることを目的としたものである。。そして、組織コントロールと関連する組織アイデンティティがアイデンティフィケーションによって変容するという観点から、両者の関係性を理論的・実証的に解明することが図られた。

従来の組織コントロール研究は、個別組織が焦点であり、海外展開している企業の現地子会社に対する有効な組織にコントロールについて十分に解明なされているとはいえない。本研究では、企業の海外進出に伴う組織コントロール問題について,組織コントロールの有効性は現地小会社の組織アイデンティティの変容に影響されるといった仮説を設定し、目標達成に有効な海外子会社の組織コントロールは、親会社と子会社の組織アイデンティティの絡み合いの中でその変容がどのように関係するかを、オーストラリア進出の子会社を対象に、サンプリング調査を行った。以上を踏まえ、その成果の一部は金倫廷・大月博司「組織コントロール戦略の新たなアプローチ-アイデンティティとアイデンティフィケーションの視点から」『早稲田商学』第4447448合併号(2016)で公表したが、今後の課題は研究対象を広げ、方法論的には定量分析とディスコース分析を行い、より一般化された命題を導出することにある。