表題番号:2016B-005 日付:2017/04/18
研究課題マラルメとサンボリストたち、イマジネールな知の行方
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 政治経済学術院 政治経済学部 教授 岡山 茂
研究成果概要

今年度はマラルメがイギリスへの講演旅行の思い出について語った「禁域」のテーマを発展させ、19世紀末のフランスにおける「大学の不在」について調べた。サンボリストたちの挫折と栄光は「大学の不在」と関係している。マラルメの「文学基金」Fonds litteraire というアイデアは当時のフランスでは受け入れられなかった。またクリストフ・シャルルによれば、ドイツへの留学生たちが持ち帰ったカントの近代の大学の理念も19世紀末のフランスには根づかなかった。サンボリストたちを惑わせ、迷走させ、あるいは勇気づけ、さらにはドレフュス事件のおりに「知識人」として活躍させたのは、この「大学の不在」である。それがデリダの「条件なき大学」にもつながるという主張を行った。