表題番号:2016B-002 日付:2017/04/22
研究課題『消え去ったアルベルチーヌ』―作者プルーストの意図、作品の自立性、編集の思想
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 政治経済学術院 政治経済学部 教授 徳田 陽彦
研究成果概要

プルーストの『失われた時を求めて』の第6巻『消え去ったアルベルチーネ』(もしくは『逃げさる女』)が未完で、死後出版である情況から起因する問題にかんする研究である。ナタリー・モーリアックは1986年に発見された一連のタイプ原稿(原稿版の三分の一の長さ)を翌年、「作者の手による最終稿」(19221118日に死亡したプルーストが、死の直前一ヶ月近く、衰弱した心身のまま修正・削除をおこなった)として出版した。件のタイプ原稿の出版直後、筆者はそれは雑誌「レ・ズーヴル・リーブル」に充てた第六巻抜粋であるとの仮説を発表した。この対立・論争は、さまざまな研究者がそれぞれの見解を展開したが、いまだ決着をみない。今回は氏のポッシュ版における仮説・見解を批判した。