表題番号:2016A-001 日付:2017/02/22
研究課題協調ゲームにおける社会的ジレンマ解決のためのメカニズムに関する実験研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 政治経済学術院 政治経済学部 教授 清水 和巳
研究成果概要

囚人のジレンマ・鹿狩りゲームはそれぞれ、協力・協調の失敗を引き起こす状況として広く知られている。本研究では、これらのゲームを繰り返し行う状況下で協力・協調を導くと期待できる三つの仕組み、すなわち、①協力・協調の難易度の段階的変化、②変化の内生性、③目標値の調整、について理論・実験により考察する。これらの仕組みは、匿名性の高い現代社会において解決が難しいジレンマ、また、権力の干渉の余地の小さい国家間の問題や個人裁量の範囲内の問題にも適用可能と考えられ、それゆえ外的妥当性が高く、応用範囲も広いと考えられる。

2016年度は、三つの仕組み(段階的変化、内生性、目標値調整)が鹿狩りゲームにおいて高協力を形成・維持するのにどのような効果があるのかを明らかするために集団実験を実施した。

実験研究の結果、上記三つの仕組みが鹿狩りゲームの調整問題を解決するのに有効であり、かつ、多値選択型の囚人のジレンマにおける協力の失敗の解決にも有効であることがわかった。

現在、成果を英文論文にまとめ投稿するための準備を行っている。