表題番号:2015S-159 日付:2016/04/11
研究課題『阿毘達磨識身足論』における「一切法無我」の論証方法の分析
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 高等学院 教諭 飛田 康裕
研究成果概要
仏教の根幹をなす教義の一つに、「一切法非我」あるいは「無我」という命題がある。本研究は、紀元前2世紀前後におけるこの命題に秘められた「話者の意図による言外の限定」を明らかにすることを目的とした。そして、その方法として、『阿毘達磨識身足論』「補特伽羅蘊」を対象として分析する手法を用いた。現段階では、その約三分の一の訳注を作成しているが、今回、その中核をなす論証の部分に説一切有部所伝の『大般涅槃経』が引用されていることが明らかになり、立論者の意図もある程度明らかになりつつある。今後は、インド仏教の論理学に基づいて分析することにより、「話者の意図による言外の限定」を厳密に抽出するつもりである。