表題番号:2015S-115 日付:2016/04/11
研究課題中国の近代ナショナリズムと清末民初の早稲田中国人留学生
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 社会科学総合学術院 社会科学部 講師 黄 斌
研究成果概要
 本研究では、民国初期に早稲田に留学した李大釗の生涯を追跡し、温厚な性格でありながら、急進的なナショナリズムとマルクス主義に傾倒しつつあるその内心の葛藤を探究する。特に、梁啓超らのナショナリズムと比較し、二つの世代間の対立と継承関係に焦点を当てる。李大釗は梁啓超らの世代から受け継いだナショナリズムをマルクス主義と融合させ、エリートより学生たち、ないし一般の民衆にまで広めた。彼が刑死した後、そのナショナリズム論は、毛沢東らにより中国の支配的なイデオロギーに発展され、今日まで政権の政治正当性の基礎を成してきた。それだけに、中国ナショナリズムの系譜における李大釗の役割を再評価すべきであろう。