表題番号:2015S-094 日付:2016/04/11
研究課題極性反転多層構造の圧電薄膜を用いた高分解能超音波プロープの実現
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 先進理工学部 准教授 柳谷 隆彦
(連携研究者) 早稲田大学 客員次席研究員 鈴木雅視
研究成果概要

超音波顕微鏡装置において画像を高分解能化するには、超音波の高周波化と高出力化が必要である。また、高周波化するには使用する圧電体を薄膜化する。本研究では、圧電薄膜を極性反転多層させることにより、周波数を保ったまま耐電圧性を向上させかつ励振面積を大きくし、超音波出力を向上させるものである。本研究では、圧電薄膜の中では最も圧電性の大きなScAlN薄膜とZnO薄膜についてスパッタリング成膜法による成長実験を行った。その結果、ZnO薄膜では300℃以上でプラズマ柱外では配向性が良いものが得られ、極性はO極性となることがわかった。これに対して、ScAlN薄膜では室温でプラズマ柱内では配向性が良いものが得られ、極性はAl極性となることを発見した。そこで、この技術を用いてAu上部電極薄膜/Al極性ScAlN薄膜/O極性ZnO薄膜/高配向Ti下部電極薄膜/石英ガラス基板構造の極性反転超音波プローブの作製に成功した。励振面積は2層反転することにより予想どおり2倍となった(50Ω整合時の面積が2倍)。この研究成果に基づいてIEEE超音波国際会議おける受賞(2016年)、超音波シンポジウム奨励賞(2016年)、応用物理学会講演奨励賞(2016年)を受賞した。