表題番号:2015K-301 日付:2016/04/09
研究課題法的議論は国際関係論にいかに貢献できるのか―Global Ethics の視点から
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 国際学術院 大学院アジア太平洋研究科 教授 篠原 初枝
研究成果概要


国際関係論において法的アプローチはいかなる位置づけを得るべきなのかという課題をこの研究課題で追求した。

この課題追及にあたり、ひとつは理論的な考察を行い、近年欧米で進んでいる法と政治にかかわる文献を読み込み、このテーマにかかわる研究の現況を確認した。

また、具体的な課題として、ヘルシンキ大学コスケニエミ教授のもとでの共同研究に参加したプロジェクトがある。このプロジェクトでは "Trajectory of American Reformers in the Cold War: Draft Toward Empire" という論文を書き、それをプロジェクト全体の成果物である著作に投稿した。すでに、この著作の出版は決定している。この論文では、戦間期においては改革派として名を馳せたライト(Quincy Wright) やフェンウィック(Charles Fenwick )等の国際法学者が、冷戦期においてどのようにその議論や立場を変遷させていったかを論じた。興味深いことに、キューバ危機を転換として、ライトとフェンウィックの間には、その立場に相違が生じ、ライトはアメリカ政府が行った政策を国際法違反だとしたのに対し、フェンウィックは合法だと論じた。