表題番号:2015K-246 日付:2016/04/11
研究課題中山間地域農業・資源管理の担い手システム再建と直接支払制度改革
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 人間科学学術院 人間科学部 教授 柏 雅之
研究成果概要
 本研究では、広島県における集落営農法人の意義と限界に関する検討、および今後の地域農業の面的担い手としての展望と支援施策のあり方について分析した。広島県に特徴的な担い手中心型集落営農法人であるが、その成立状況は大規模個別経営の成立状況に規定され今後の量的拡大の展望は厳しい。また全戸参加型も設立時の特定のリーダーやオペレータ層に依存する状況から多くは脱却できず、後継担い手が形成されない実態を限界としてかかえる。また任意団体を含めた集落営農自体も量的には限界にきつつあり、その空白地域をどのような担い手システムで補っていくかが大きく問われている。こうしたなかで、広域レベルを管理する主体やシステムの必要性が課題となる。
 他方、高知県では、戦後合併の市町村レベルの広域を経営する地域主体育成を進めつつある。本研究ではJA出資型農業生産法人や第3セクターによる担い手システムの可能性と支援手法についての分析を行った。そこでは経営管理のみならず、米価下落等の問題が大きな桎梏となる。他方で中山間地域等直接金の戦略的利用等の新たな可能性も生まれている。
 最後に、京都市旧京北町の第3セクターである「きょうと京北ふるさと公社」の実態をとおして、自治体やJAの広域合併に伴う中山間地区でのサービス機能低下に対抗しうるための諸条件について分析した。