表題番号:2015K-103 日付:2016/04/10
研究課題フランス中部の中世都市家屋に関する歴史考古学的研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 教育・総合科学学術院 教育学部 教授 堀越 宏一
研究成果概要

 中世フランスの都市家屋に関する2つの基本的類型、すなわち、「クリュニー型中世町家」のような石造アーチの1階開口部を持つ家は建物全体が石造であることが多いのに対して、それ以外の大部分の一般中世町家は、1階上辺は水平の木製梁によって支えられ、2階以上は木造のハーフ・ティンバー様式の町家であるという事実を、これまで未調査だったフランシュ・コンテ地方とブルゴーニュ地方について行うことを主眼とした。

 8月30日~9月8日に実施した現地調査では、Saint-Thibaultで12世紀の家を発見できたほか、両地方では、石造町家と木造町屋が混在して残存することを確認できた。加えて、Noyersに多く残存するハーフ・ティンバー様式の木造家屋を観察する中で、15世紀頃のハーフ・ティンバー様式町家では、同時期の石造窓に見られる窓枠上辺の宝珠のような曲線装飾が模倣されていることに気づいた。14世紀以前にさかのぼる木造家屋の現存例はほとんどないと考えられているので、この「宝珠状曲線装飾」を手掛かりに、現存する最古の木造町家である15世紀のハーフ・ティンバー様式の町家群の所在を把握することが出来ると予想される。