表題番号:2015K-100 日付:2016/02/23
研究課題談林俳文と西鶴『好色一代男』を中心とした浮世草子との表現論的研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 教育・総合科学学術院 教育学部 教授 中嶋 隆
研究成果概要
日本近世初期の小説(仮名草子・浮世草子)は、擬古文体に口語的要素が加わって、独特な文体を形成した。この傾向は、古典的要素に、当時の風俗や巷説等の 現実的事象が加味されたことの反映でもある。口語的要素は、話し言葉そのものを叙述(書き言葉)化したのではなく、当時流行した狂歌や俳諧を文体に取り込むことによって叙述化された。本研究では、談林俳書の序跋を「俳文」として位置づけたが、その特徴は談林連句の「ぬけ・取り成し・見立て」等の技巧を叙述に取り込むほか、省略や飛躍の多い点にある。談林俳書の序跋は、『好色一代男』に影響を与え、狂歌の影響の濃厚な『仁勢物語』などの仮名草子とは異質な文体を成立させた。