表題番号:2015K-090 日付:2016/04/10
研究課題明治・大正期の中産階級読者から見た「女の謎」表象に関する総合的研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 教育・総合科学学術院 教育学部 教授 石原 千秋
研究成果概要
 夏目漱石は「女の謎」を書き続けた作家である。漱石は明治40年に朝日新聞社の専属作家となったが、実はこれが漱石が作家生涯を通して「女の謎」を描き続けることになった物理的な条件だったのである。 
 漱石は自分に与えられた義務に忠実に、山の手の男性読者に向けて山の手を書いた小説を発表し続けた。その方法の一つとして、漱石は「女の謎」を書き続けたのである。それは、山の手の住む知識人男性が、女学校出の教育を受けた女性を知りたいのに知る方法を知らないために「謎」に見えたからでもある。