表題番号:2015K-080 日付:2016/04/11
研究課題フランス革命前夜におけるヴェルジェンヌ外交政策に関する史料学的研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 文学学術院 文学部 教授 森原 隆
研究成果概要
 本研究は、近世フランスの外交・文化政策を、外交書簡を中心にした文書・文献史料の渉猟と解読をとおして、あらたに解明しようとするものである。とくに昨年、フランス社会科学高等研究院のJ.-F.ショーブ教授が来日し、早稲田での講演・研究活動のサポート活動を全面的に担当したこともあって、本年は氏の専門である近世スペインとフランスとの外交関係を中心に継続して考察と分析を行った。これによってフランスブルボン王朝期の政策に、とくにルイ14世期の外交を中心としたさまざまな政策にスペインをモデルとした国政像が大きな影響を与えていたことが明らかになった。これは氏の著書2003年『スペイン的なフランス』をふまえた上での議論であるが、これに関連しては、ヨーロッパの近世国家像をめぐって、2014年4月に、国際セミナー「『礫岩国家の3点測量』ーヨーロッパにおける複合政体を比較するー」が開催され、その研究報告が『プロジェクト研究』第10号、2015年3月、早稲田大学総合研究機構、に掲載された。さらに今年は、継続して1780年代から革命期にかけての外務卿ヴェルジェンヌ時代(1774-1787)に焦点をしぼり、史料分析に基づいた当時のフランス外交のあり方を考察するなかで、スペイン以外の国々とフランスの外交政策との関わりにも焦点をあてて考察を行った。とくに1780年代は文化史上、新古典主義の勃興期であり、ギリシャ・ローマの古典文化とかかわりに関心が当てられた時代であるが、ギリシャ・アテネの古文書館やアカデミー・博物館関連施設でフランス文化政策とのかかわりについての実態調査を並行しておこなった。