表題番号:2015K-078 日付:2016/02/18
研究課題漢字語の読みにおける形態素への分解と再統合
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 文学学術院 文学部 教授 日野 泰志
研究成果概要
漢字二字熟語に単漢字が付加された構造を持つ二種類の漢字三字熟語(i.e., 1+2構造語(right-branching compounds)と2+1構造語(left-branching compounds))を使った語彙判断課題において,単漢字部分のファミリーサイズを操作した。実験では,二種類の形態素構造を持つ語が混在する刺激リストと形態素構造毎にブロック化した刺激リストを用意し,それぞれにおけるファミリーサイズ効果の観察を試みた。その結果,二種類の形態素構造を持つ語が混在するリストでは,有意なファミリーサイズ効果が観察されたのに対して,形態素構造毎に刺激をブロック化した課題では有意な効果は観察されなかった。この結果は,ターゲット語自体が持つ単漢字部分のファミリーサイズによる効果と先行刺激が形態素構造を共有することによるプライミング効果の両方が,ターゲット語に対する分解された形態素の統合段階において生じることを示唆するものと思われる。