表題番号:2015K-075 日付:2016/03/31
研究課題伊達文庫本「万葉集」の研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 文学学術院 文学部 教授 高松 寿夫
研究成果概要
宮城県図書館が所蔵する伊達文庫の近世初期写『万葉集』(以下「伊達文庫本」)は、奥書によって、所謂「中院本」の系統に属する写本であることがわかる。こんにち、中院本系の『万葉集』写本として有名なのは京都大学図書館所蔵の写本(京大本)であるが、中院本系写本の大きな特色には、禁裏御本との校異が書き込まれている(京大本では代赭による書き込み)ことが挙げられる。伊達文庫本にもそれは認められ(やはり代赭)、かつ京大本の校異情報の再検討を促す箇所が少なからず認められた。こんにちの『万葉集』本文研究では、中院本系との校異情報は、京大本によって代表されている観があるが、中院本系内での校合の必要性が強く実感される。