表題番号:2015K-023 日付:2016/05/06
研究課題ハーグ子奪取条約の国内実施法の運用に関する研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 法学学術院 法学部 教授 棚村 政行
(連携研究者) 東京大学大学院 教授 早川眞一郎
研究成果概要

ハーグ子奪取条約は、1980年10月に、ハーグ国際私法会議で採択され、1983年12月に発効した国際条約である。同条約は、国境を超えた不法な国際的な子の連れ去りを防止し、元の居住国に子を迅速に返還することを目的とする国際条約である。2014年4月から、ハーグ子奪取条約が施行されたが、この2年間で、中央当局への返還援助申請は81件、面会交流援助申請は97件と合計178件にのぼり、子どもの返還申立件数は20件を超えた。外務省は、本条約の実施のための拠点的な中枢機関としての役割を期待されており、子の連れ去り問題についてエクスパート25名を揃え、初年度に100件を超える援助申請を処理するなど加盟国95カ国中でも、優れた成果をあげつつある。また、子の返還手続きの裁判を担う東京家庭裁判所、大阪家庭裁判所は、ハーグ条約に対応する専門チームを立ち上げ、裁判官・調査官・書記官・事務官が、原則6週間モデルと呼ばれる迅速な審理・調査で着実な成果を上げている。本研究では、外務省ハーグ条約室や東京・大阪家庭裁判所の協力を得て、運用の実情と課題を明らかにすることができた。