表題番号:2015K-018 日付:2016/04/11
研究課題福島第一原発事故における日本政府記者会見と各国の新聞報道の比較研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 政治経済学術院 大学院政治学研究科 教授 瀬川 至朗
(連携研究者) 政治経済学術院 准教授 中村理
研究成果概要
2011年3月11日に東日本大震災が発生し、それに伴う東京電力福島第一原子力発電所の深刻な事故と放射能汚染は、日本だけでなく世界の人々を震撼させた。本研究では、東京電力福島第一原子力発電所の事故の初期段階に注目し、日本政府や東京電力による記者会見とマスメディア報道との比較分析などを実施し、「政府とメディア」の観点から原発事故対応に関わる研究を進めている。本年度は、当時、国民にとって重要な情報源であった日本政府や東京電力などの記者会見の内容をテキスト化して公開した。 本研究を進めていくうえで重要な資料となるのが、日本政府と東京電力が福島第一原発事故に関連して連日開催した記者会見の内容である。その日本政府と東京電力の記者会見のデータを探すなかで、そうした重要な記者会見について記者会見の一問一答全体を記録したテキストデータが存在しないことが判明した。具体的には、内閣官房長官の記者会見と原子力安全・保安院の記者会見、東京電力本店での記者会見である。 そこで本研究のデータとして必要な、事故発生後に開かれた官房長官の記者会見=2016年度に掲載予定=、原子力安全・保安院の記者会見、東京電力本店の記者会見の一問一答全体を記録したテキストデータを作成することにした。具体的には、それぞれ2011年3月11日~同年3月31日という、事故の初期段階に開かれた記者会見のテキストデータの文字起こしをした。作成したテキストデータは、本研究のためだけでなく、公共的な価値があると考え、ウェブサイト「FUKUSHIMA STUDY」を構築して公開することにした。  公開に際しては、原子力安全・保安院の記者会見と東京電力本店の記者会見の整理の仕方に差があったため、原子力安全・保安院は会見単位で、また東京電力本店は1日単位で、その会見(その日)に特有なかたちで多く現れる言葉を特徴語として上位10位まで抽出し、会見テキストの横に掲示した。特徴語の抽出には計量テキスト分析ソフト、KH Coderを使用した。これにより、会見の内容が経時的に変化する様子を概観できるようになった。  2016年度は、記者会見と新聞報道記事の比較分析を進める予定である。 なお本研究は、主に、科学研究費補助金基盤研究(C)「福島第一原発事故における日本政府記者会見と各国に新聞報道の分析」(2014年度~2016年度、研究代表者・瀬川至朗)により実施しているが、とりわけウェブサイトの構築には特定課題基礎助成のサポートを利用した。 ウェブサイトURL http://fukushimastudy.org