表題番号:2015K-006 日付:2016/04/14
研究課題未完小説の物語上のテーマの行方-プルーストの忘却と第6巻の分析・編集考察
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 政治経済学術院 政治経済学部 教授 徳田 陽彦
研究成果概要
プルーストの小説『失われた時を求めて』の第六巻『消え去ったアルベルチーヌ』は作者の死後出版された、未完成の物語である。題名も編者・訳者によって、『逃げ去った女』を採用する者もおり、一定していない。後世に残された資料としては、清書原稿、弟ロベールとNRF編集者が協力して出版した1925年の初版に利用されたタイプ原稿、1987年にナタリー・モーリアックが発見し出版された三分の一に縮約された(アルベルチーヌへの「忘却」のテーマとヴェネチア滞在が大幅に削除された)タイプ原稿である。筆者は第3番目のタイプ原稿は作者が当初ある雑誌用の抜粋として従来から主張している。