表題番号:2015K-004 日付:2016/04/03
研究課題中産階級の政治的立場に関する多次元的分析
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 政治経済学術院 政治経済学部 教授 唐 亮
研究成果概要




中産階級と民主化との関係は民主化研究の重要課題の一つである。リプセットらは中産階級を媒介変数とし、経済発展が民主化を促進するという有名な仮説を提起した。それに対し、権威主義国家を対象とする多くの実証研究は、中産階級が経済利益を重視する立場から、政治的無関心か権威主義体制との癒着関係を指摘し、リプセット仮説を批判した。本研究は中産階級の政治的意識・立場が多面的であり、また状況によって変化するといった事実に着目し、中産階級と民主化との関係を以下のように論じる。1)中産階級の政治的多様性は多様な価値の存在によるものである。2)経済発展の水準は中産階級の諸価値に対する政治的バランス感覚の変化をもたらす。3)中産階級の成熟度よりも、国の発展状況(安定的な発展、発展の停滞、危機的状況の発生)のほうは中産階級の民主化への支持に大きな影響を与えるが、中産階級の成熟度は民主化のパターン(体制移行のコスト、民主政の質)に決定的な影響を与える