表題番号:2015B-475 日付:2016/04/05
研究課題賭博罪の保護法益
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 高等学院 教諭 川田 泰之
研究成果概要
わが国の判例・通説は賭博罪の保護法益を「勤労による健全な経済的秩序」と解しているが、競馬・競輪などの公営ギャンブルが堂々と開催されている状況を眼にすると、その理解に対しては疑問を禁じえない。先般、統合型リゾート(IR)推進法案が国会に提出されて、結局成立は見送られることとなったが、もしカジノが設立されれば、その疑問はさらに強まる。賭博罪の保護法益を根本的に考え直す時期が到来している。いま賭博罪について議論するためには、IR推進法案をめぐる議論がまさにそのものであるように、立法政策をも視野に入れねばならないから、これまでの実務の動向を無視できない。そこで判例に着目して、特に賭博罪の成立を否定したいくつかの事案を検討した。