表題番号:2015B-422
日付:2016/04/08
研究課題運動・ストレス・老化に関する新規バイオマーカーの開発と予防医学・臨床医学への応用
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | スポーツ科学学術院 スポーツ科学部 | 教授 | 鈴木 克彦 |
(連携研究者) | スポーツ科学学術院 | 研究助手 | 矢田 光一 |
(連携研究者) | 日本学術振興会 | 特別研究員 | 佐古 博皓 |
(連携研究者) | スポーツ科学研究科 | 大学院生 | 荻野目 夏望 |
- 研究成果概要
運動により骨格筋において血管新生やミトコンドリア新生が生じるが,この現象には老化遺伝子として注目されているSirt-1が関与している.近年,食品に含まれる機能性成分としてポリフェノールが注目されているが,ある種のポリフェノールも同様にSirt-1の発現亢進を介してミトコンドリア新生を亢進すると報告されている.そこで,運動時のポリフェノール摂取が骨格筋における血管新生およびミトコンドリア新生に及ぼす影響について検討した.C57BL/6雄性マウスをポリフェノール摂取の有無および運動の有無により4群に分けた.運動開始の1時間前にポリフェノールを200 mg/kg weight経口投与した.運動群のマウスには速度18 m/min,5%の傾斜から始め,疲労困憊に至るまで30分おきに3 m/min速度を上げるトレッドミル走を負荷した.運動直後に解剖を行い,腓腹筋を採取した.運動関連遺伝子としてperoxisome proliferatoractivated receptor γ coactivator-1(PGC-1)α,シトクロムc(Cyto c),COXⅣ,クエン酸合成酵素(CS),vascular endothelial growth factor(VEGF),Sirtuin1(Sirt-1)のmRNAをリアルタイムPCRで測定した.疲労困憊に至るまでの走行時間には,ポリフェノール投与の有無による差は認められなかった.また,運動によって骨格筋におけるPGC-1α,VEGF,Sirt-1の発現が有意に上昇したが,CS,Cyto c,COXⅣの発現は亢進しなかった.一方,ポリフェノール投与はいずれの遺伝子発現にも影響を及ぼさなかった.