表題番号:2015B-382 日付:2016/04/29
研究課題アルザス語パラドックスに関する歴史人類学的研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 人間科学学術院 人間科学部 教授 蔵持 不三也
研究成果概要


本研究はフランス・アルザス地方におけるアルザス語の使用・理解状況を、現地調査(インタヴュー・アンケート)と文献渉猟に基づいて行われた。これら一連の作業を通して見えてきたのは、アルザス北部のドイツ国境に近い地域では、なおもアルザス語が「生きている」、つまり高齢者のみならず、若年層も使用あるいは理解できるのに対し、ドイツ国境から離れた南部地域では、一部の高齢者を除いてほぼ「死滅」した状態にあるということである。この乖離が何に由来するかは、これからの資料分析で明らかになるはずだが、現段階で明確になっているのは、アルザス語の母語ともいうべきドイツ語圏との交流度が基本的にかかわっているということである。