表題番号:2015B-356 日付:2016/04/11
研究課題1910年代イタリアにおける選挙制度改革に関する研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 社会科学総合学術院 社会科学部 教授 池谷 知明
研究成果概要

 本研究は、これまで行ってきた19世紀後半から20世紀初頭のイタリアにおける選挙制度史研究を発展させるものであり、男子普通選挙制の成立(1912年選挙法)を対象に主として有権者の創造の観点から研究を行った。

 1912年選挙法そのものを精査し、議事録をはじめとする資料や当時の文献を参照しつつ、研究を進めた。9月にはローマの上院・下院図書館および国立図書館で調査を行った。

 本研究では男子普通選挙制の導入を主導した当時の首相ジョリッティの政治的意図を明らかにした。他方で、投票率は上昇せず、また各地で直接行動が活発化したことから、選挙制度が大衆の政治参加の手段として機能しなかったと言える。この点については、今後の検討課題とし、ファシズム運動の勃興と関連づけて研究を行う予定である。