表題番号:2015B-286 日付:2016/04/09
研究課題熱・物質流で誘起されるキラル・アキラル液晶薄膜の動的構造:その仕組みと制御
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 先進理工学部 教授 多辺 由佳
研究成果概要
キラル液晶に物質や熱流を透過させると、膜を構成する分子が位相をそろえて集団回転する。我々は、この回転能を持つキラル液晶ドメインを気液界面に張られた脂質単分子膜に埋め込み、疑似生体膜を作製することを試みた。まず液晶ドメインが分散した膜を作ることに成功し、続いて膜にアルコール蒸気を透過させたところ、液晶ドメインの配向を一方向回転させることができた。特徴的なのは、気相から液相へエタノール蒸気が移動した時にのみ、液晶分子が一方向回転を示したことである。弁がついているかのような挙動は生体ではよく見られるものなので、今後、液晶ドメインが弁機能を持つ仕組みを調べ、生体の一方向運動を理解するモデル系にしたいと考えている。