表題番号:2015B-107 日付:2016/04/11
研究課題21世紀科学イメージの表象分析 原子力とメイド・イン・ジャパン表象の批判的検証
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 教育・総合科学学術院 教育学部 教授 原 克
研究成果概要
本研究は21世紀に於ける「原子力エネルギー表象」と「市民的想像力」の仮構性を表象文化論的に解明することを目指した。市民的想像力のうちわけても「製品化された日用品・道具・装置」とのアフォーダンス的接触により意識的あるいは社会的無意識として形成されてゆく心象体験・身体表象に焦点をあてた。分析方法としては、「近代の科学神話」という枠組みの中で、とりわけ各種製品(所謂「モノ」)との関連についての市民的日常生活という文脈に於ける科学全般表象さらに原子力エネルギーをめぐる大衆的科学表象に特化し、ポピュラー系科学雑誌に現れた「テキストの語り口」「図像的演出」に焦点を当て、科学技術表象ならびに原子力エネルギー表象と大衆社会に於ける近代的市民生活が、より広範な科学信仰・進歩信仰を成立させてきた表象基盤構造と根本において同期性・根幹的連動性を有することを批判的に明らかにした。その分析作業を通じて、近代工業表象・進歩信仰が単独で生起してきたわけではないことを具体的に解析することにより、21世紀に求められるべき科学と大衆の新たな関係性をめぐる理論的視座を総体的な科学表象批判の観点から提言することを明示した。