具体的には、アマチュアオーケストラ参加者（14名）、フリーランスでの音楽活動従事者（４名）、演劇活動を続ける者（４名）についてインタビューを行った。本年度の分析は主に音楽活動にかかわる18名に限定した。アマチュアオーケストラにおいても、フリーランスでの音楽活動においても、他者との関係は仕事や演奏機会を得るために重要な要素となっている。それは学校歴に特に依存する。

また、フリーランスの音楽活動従事者の語りと、アマチュアオーケストラ参加者の語りを比較する中で、アマチュアがいかにして「プロにならなかったのか」ということに着目するようになった。この点は、他者との比較、特に教師・講師との関係性において醸成される諦念でもある。「アマチュアの活動は純粋に楽しめるもの」というプロからの目線が、アマチュアをアマチュアのままにとどまらせようとする作用を持ちうることが見えてきた。今後はこのプロとアマチュアの接触によって生じる摩擦や役割分担について、演劇や美術など他のジャンルの活動も参照しながら、研究・考察を進めていく。