表題番号:2015A-007 日付:2016/04/15
研究課題民事訴訟における審理上の諸原則の心理学的再検討――直接主義・口頭主義を中心に
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 法学学術院 大学院法務研究科 教授 菅原 郁夫
研究成果概要

 研究の結果、交互尋問を前提した日本の直接主義は、心理学的にみた場合、当事者が対立的尋問を行うことで、裁判官の有するバイアスを抑制する機能があり、口頭主義に関しても、従来から指摘されてきたメリットに加え、情報提示のコントロールが当事者に留保される結果、裁判官のバイアスを抑制する機能が期待できるといった点が見いだされた。ただし、いずれのメリットも、その機能を発揮させるためには、裁判官と尋問者の問題意識を一致させる工夫が必要となることも示された。 以上、本研究では、日本の直接主義及び口頭主義は、母法のそれとは異なる機能を有していることが示されたが、その点を踏まえた両原則の再定義は今後の課題である。